懐かしい学生生活をもう一度――。こんなコンセプトのシニア向けイベントが、神奈川大学みなとみらいキャンパス(横浜市西区)で開かれた。その名も「Back to School 2025」。のべ約3千人が来場した。
健康活動に関するサービスを展開する「楽天シニア」(東京)と神奈川大、県が「健康寿命の延伸」をテーマに企画。1月28日、賛同する企業などによる約20のブースが出展した。
午前10時のスタートと同時に長い列ができたのは「入学手続き」のブース。1980年代に流行した「なめ猫」が入った学生証がつくれるとあって、来場者は「懐かしい」と言いながら、なめ猫のパネルと一緒に写真におさまっていた。
「70歳になったら義務教育で、また学校に入るのはどうだろう?」
企画の出発点は、楽天シニアの担当者のこんなアイデアからだった。
毎日登校する必要があれば、高齢になっても外出機会が増える。学校生活では勉強はもちろん、イベント、恋愛……様々な経験ができる。それが健康寿命を延ばすことにつながるのでは――。
一方、神奈川大側には県内の大学として、教員らが研究で得た知識を「地域に還元したい」という思いがある。また、社会連携課の遠藤裕之さんは「大学を色々な世代の人に知っていただくことも大切です」と語る。
昨年、シニア向けイベントを初開催したところ、盛況だったことから、今年は「学生生活」をコンセプトに、スペースを拡大して開催することにしたという。
各ブースでは、学校の科目にちなんだ「体験授業」を開催。「保健・体育」では長く歩くための正しい足のケアが受けられ、「理科」では自身の栄養状態を測定できるコーナーがあった。
横浜市保土ケ谷区から友人と2人で来場した60代のパート女性は「とっても楽しかった」と笑顔を見せた。キャンパスに足を踏み入れるのは初めてだったが、「また(こうした)イベントがあったら来たい」と話した。
「学園行事」として、専門家による歩き方などの授業を受けた後、実際に街に繰り出すウォーキングイベントもあった。神奈川大を箱根駅伝2連覇に導いた人間科学部の大後栄治教授や心理学者の杉山崇教授、卒業生で男子マラソン日本記録保持者の鈴木健吾選手による「特別授業」には、駅伝ファンらも駆けつけた。